シルクロードのものがたり(95)
「シルクロードのものがたり」と題し、長いあいだ掲載してきた。おしまいに十回ほど、西域をテーマにした漢詩を紹介してこのシリーズを終えたいと考えている。読者の多くはもの知りなので、私がつたない文章で紹介する必用はないのかも知れない。自分自身がこれらの西域詩を楽しみたいという気持ちで、少しばかり紡いでみたい。
中国が西域に勢力を大きく拡大するのは、漢の武帝以降である。よって、漢・魏晋南北朝・唐と歴史の流れに沿って紹介するのが自然ではあるが、私は唐詩からはじめたいと考えている。
理由は、西域をテーマにした詩には「悲しい詩」があまりにも多いからだ。漢代から魏晋南北朝時代の詩は、読んでいて悲しくてやりきれない。心が沈みそうになる。
その点、唐代の詩にも悲しい詩は多いのだが、それでも王維や李白の詩の中には「はつらつとした気持ちの良い詩」がいくつか見える。また、王翰(おう・かん・687-726)・王之渙(おう・しかん・696-?)・岑参(しん・じん・715-770)のように、「涼州詞・りょうしゅうし」や「辺塞詩・へんさいし」といわれる詩の分類で、西域をテーマにした魅力的な詩がいくつもある。
このような理由で、時代的には西域詩の後半に位置する「唐詩」から先に入り、そのあとで漢・魏晋南北朝の詩をいくつか取り上げたいと考えている。唐詩といっても西域をテーマにした詩は「盛唐」に多い。この頃、中国が西域に勢力を大きく拡大したからである。
私は漢詩については素人で、自分でつくることはできない。ただ、高校時代から漢詩が好きで自分なりに読んできた。陶淵明・魏徴・王維・白居易・杜牧・蘇軾・陸游が特に好きだ。これらの人たちに師匠・兄貴分・お友達のような尊敬と親しみを感じ、今まで各人の詩を楽しんできた。
特に陶淵明と蘇軾の二人は自分の「人生の師匠」のような気持でいる。「お友達」として特に大切にしているのは王維と白居易の二人である。

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