思い込んだら命がけ、みたいな青年にときたま出会う。義理堅く、若いくせになんだか戦前の日本人のような古風な匂いのする人である。あまり要領の良くない愚直な感じの人とも言える。映画俳優でいえば高倉健みたいな人だ。
外資金融のイメージに重ならないのだが、どういうわけかこのタイプの中に成功者が多い。人種・国籍に関係なく、人間というものはこういうタイプの人に胸をうたれ、信頼感を寄せるものなのかも知れない。
先に述べた意固地な人と、この一途な人とはまったく違う。素直な心根で、かつ、思い込んだら命がけで一途に努力する人はいい。このような人は、かならず成功する。
「外資系金融界で成功するには、自己主張を強くして、外国人と上手につきあい、要領良く立ち回らなければいけない」という話を、30年前ヘッドハンターになった頃、外資系で働く日本人からしばしば聞かされた。ある面、これは当たってなくもない。しかし、それだけでは成功しない。一途に努力するということなしで、成功した人に私は今まで会ったことがない。
人生において、どこかの時点で壁を突破しなければ次の展望が開けない、という局面がかならずある。それは一回だけではない。人によっては数回かも知れないし、数十回かも知れない。しかし、一回目の壁を立派に突破しておくと、そのコツを身体が覚える。
その壁を突破する最善の方法が、「一途に努力すること」だと近頃強く思う。一途に努力することによって知識が増し、知恵が深まる。人間として実力がつく。これも大切なことである。じつはそれ以上に重要なことがある。
「一途に努力している人を ”発見” すると、人間という動物はそれを助けてやりたいという衝動を抱く」ものなのである。他の人の好意・善意・助けがなければ、人は成功することは出来ない。
強い熱意・一途な努力は、かならず人の心を動かす。これは真理である。
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