今回のツアーは少しだけ値段の高いものを選んだ。西安のホテルも立派で部屋も広い。一人一部屋なので快適だ。ホテルの朝食を含め、外のレストランでの昼食・夕食も美味しい。ただ食後にデザートとして出る、西瓜はそれなりに美味なのだが、ハミウリの味がよくない。
私にすれば唯一、これが面白くない。
日本から同行したベテラン添乗員のO女史にこれを言うと、「こんなもんじゃありませんか」と答える。そんなことはない。若い頃、香港で食べたハミウリはこんな味ではなかった。もっと美味しかった。しかも8月のツアーを選んだのは、ハミウリが一番旨い時期と知っての上だ。司馬遼太郎も陳舜臣も、あちこちに感激の気持ちを込めて「ハミウリの旨さ」を語っている。こんななさけないハミウリを食べて日本に帰ることになれば、私としては男が立たない。
私がハミウリに異常な執着心を持っているのを察したOさんは、助け舟を出してくれる。
「この前の仕事で敦煌に行ったとき、お客様を連れてバザールに行きました。ハミウリを売っている果物屋が数件ありました。あそこに行けば美味しいハミウリがあるかも知れません」
親切な提案に感謝して、「よろしくお願いします」と答えたのだが、内心では大きな期待はしていなかった。「敦煌は中国の北西端に位置するが、中国本土である甘粛(かんしゅく)省にある。旨いハミウリは、やはり本場の新疆ウイグル自治区のトルファン・ウルムチに行かなければ食べることができないのではないか」と勝手に想像していた。
砂漠見物のあと外のレストランで夕食を終え、ホテルにチェックインする。敦煌のホテルも立派だ。各人は部屋でシャワーを浴び、ほぼ全員でホテルから徒歩5分のバザールに向かったのは夜の10時を過ぎていた。でも、敦煌の夏の日没は夜9時過ぎなので、「これからが涼しいバザールのはじまり」といった感じで、観光客の数がとても多い。300ほどの店が並び大変な賑わいだ。
入り口から4-5軒目に大きな果物屋がある。ここで買おうと思ったが、余さんが、「そんなにセカセカしないで、全体を一回り見物したあとでいいのでは」と言う。もっともだと思い、40分ほど数軒の果物屋を含めてバザール全体を見て歩く。
結局、最初の果物屋で買うことにする。一番大きいよく熟した8キロのハミウリを、Oさんに交渉してもらい75元で買う。1500円だから安いものだ。果物屋の主人はその場で切って、大型のプラスチック容器2つに山盛りにして、竹の串を10本つ"つ付けてくれる。容器に入りきらない10片ほどはここで食ってくれと言う。
その場に居合わせた仲間数人で、2切れつ”つ立ったまま食べる。素晴らしく旨い。「旨い!旨い!」の歓声がみんなからあがる。容器一つでも我々3人で食べきるのはむずかしい。「ほかの方々にも食べてもらってください」ともう一つの容器を添乗員のOさんに渡す。
ホテルに戻ると、果物屋に寄らなかったツアー仲間の数人が、ロビーに座って休んでいる。その場で食べてもらった。「旨い!旨い!」と皆さん大変喜んでくださる。
この美味しいハミウリとの出会いで、私は敦煌がいっぺんに好きになってしまった。
これに味をしめて、「トルファンでもウルムチでもハミウリを丸ごと買って食べるぞ!」と意気込んでいたのだが、いずれの地でも、食後に出るハミウリが大量でしかも美味しい。丸ごとハミウリの購入は敦煌だけで終わった。
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敦煌のハミウリ |
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果物屋のご主人 |
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仲良しになった |
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果物は豊富だ |
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パパイアもある |
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ロビーで仲間の皆様に食べてもらった |
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