ーアメリカ強制収容所ー
〇いくたびか 香をなつかしむ遠く来し 慰問の醤油の瓶とり出でて
富田ゆかり (強制キャンプ)
〇聞くさへや わが胸いたむ米機五百 故郷襲ふとけふのニュースは
内田静 (強制キャンプ)
ー連合軍の反攻ー
〇一線は 全滅せりと喚(おら)びつつ 熱に狂ひし若き隊長
田中富雄 大正3- (ビルマの戦場)
〇腹一杯 安倍川を食ひたいと言いし戦友(とも)を 遮放(しゃほう)の山に埋めて来にけり
渡辺勇 大正5-
〇アッツ島の 兵みな死すとしばらくは 草鞋(わらじ)も解かず身じろぎもせず
片桐勘蔵 明治37-昭和47
〇吾が頭を 撃つべき拳銃を磨きゐる ジャングルは又雨期に入るなり
小国孝徳 大正6- (南方にて)
〇餓死したる 友の袋に一合の 米包まれてありたるあはれ
森 誓夫 明治44- (南方にて)
〇くもりなき をみなのいのち黒髪を 梳(くしけつ¨)るなり死すべきまへに
加藤木久子 明治43- (サイパン島)
〇大君の 御楯(みたて)となりて吾はいま 翼休めん靖国の森
田熊克省 大正8-昭和20 (神風特別攻撃隊 法政大学)
〇國民(くにたみ)の 安きを祈り吾は征く 敵艦隊の真っただ中に
森 茂士 大正14-昭和20 (神雷部隊第七建武隊・桜花隊)
〇国の為 重きつとめを果たし得で 矢弾尽(やだまつ)き果て散るぞ悲しき
栗林忠道 明治24-昭和20 (硫黄島)
〇硫黄噴(ふ)く 島の岬にたちぬれて 皇国(みくに)の栄(さかえ)けふも祈りぬ
作者未詳 (硫黄島)
〇秋をまたで 枯れゆく島の青草は 皇国の春に蘇(よみが)へらなむ
牛島満 明治20-昭和20 (沖縄)
ー愛と死ー
〇かにかくに あきらめかねつ愛(めぐ)し子の 在りし日の想出(おもひで)になみだ流るる
石坂泰三 明治19-昭和50
〇配給の わずかな食糧(かて)を背負ひ来る 母は季節の花も忘れず
太田幸子
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